RENT 2015
映画は好きで見てたけど舞台を生で見るのは2015年版が初めてでした。
4回見に行ってノートにざくざく書いてたやつをそのままうつします。
たぶんものすごく長いです。
*ざっくり
考えてたほど重くもないし暗くもないんだなあ、と。たくさんのハッピーとちょっとの哀愁と。
HIVとかLGBTとかあとドラッグとか、そういうのが身近にない(少なくともそう見えてる)世界に生きてるから、彼らのプロフィールの字面で勝手に「なんて重いものを抱えてるんだ」と思ってしまうだけで、それらがすぐそこにある彼らにとってはそんなプロフィールなんか関係なくて、結局彼らの物語の核はどこにでもある青春ドラマなんだってことを理解したらなんだかすべてがストンと落ち着いた気がする。
「僕?僕はどこにもいない」
マークのこのセリフがすごく痛いな。自分の立場が限りなくマークに近いから。仲間に入ろうと必死いんあって、結局のところみつけられたポジションは撮影係という傍観者。画面には映れない。でも最後、コリンズがマークを受け止めてくれたことで彼は仲間の自覚をもてたのかな、なんて思いました。みんなに愛情を向けたエンジェルを一番近くで見てたコリンズは、同じようにまたみんなに愛情を向けるのだなあ。
余談にはなるけど、マーク以外の全員が(アンサンブルまで含めて全員が)カップルを作っているのに対してマークは1人で、もしかしたら一見最も普通に見える彼がもしかしたら一番のマイノリティなのかなあと思ったよ。
*Wキャスト
ミミ:ジェニファー、sowelu
ジェニファーミミはすごく強そう。ロジャーを引っ張り上げる強さがありそう。それ故に、見せられない弱さを受け入れてほしいと言えずに葛藤している感じ。対してsoweluミミは弱さ故に支えを求めてロジャーに手を伸ばす。soweluの方が19歳感というか、ティーンエイジャーらしさは感じたなあ。
ソニンモーリーンは声のトーンも相俟って映画モーリーンのイメージに近かった。でもスタンスとしては上木モーリーンの方が映画モーリーン寄りかなあ。
ソニンモーリーンは「だってみんながわたしのことカワイイって言うからあ」な感じ。元はマトモ(※RENT内において)って感じなんだけど、上木モーリーンは「いやアタシってカワイイじゃん?」みたいな、あー!こいつナチュラルボーンやばいやつだー!みたいな。でもソニンモーリーンのかわいこぶりっこ感も上木モーリーンのサバサバ潔い感もぶっとんでて中途半端じゃなくてよい。
コリンズ:TAKE、加藤潤一
TAKEコリンズはダンディなおじさますぎて加藤コリンズがすごく若者に見えた。死のにおいを感じさせるのは圧倒的にTAKEコリンズかな。
repriseでTAKEコリンズはエンジェルがいなくなってしまったことを受け入れて悲しみを噛みしめる感じだけど加藤コリンズは自分が救えなかった悔しさを噛みしめる感じ。
ロジャー:ユナク、堂珍嘉邦
優しいから突き放したユナクロジャーと、怖いから逃げた堂珍ロジャー。ユナクのロジャーは優しいが故に追い出せないけど、自分といるよりはベニーといた方がミミのためになると思って勇気を振り絞って突き放す。一方堂珍ロジャーは弱いから受け入れられなくて自分が傷つきたくないから逃げてベニーに託すけど最後勇気を持って受け入れる感じ。
ユナクくん、ロックの歌い方に慣れてない感が惜しい。
エンジェル:IVAN、平間壮一
IVANがとにかく歌えない、動けない、踊れないだったのでちょっとアレだったけどそれを差し置いてもエンジェルらしさはよく出てたなあ。平間エンジェルは自分が死ぬことをわかって受け入れてるけど、IVANエンジェルは最後まで生きたい(≠死にたくない)っていう気持ちを崩さないエンジェルだった。だから二幕の説得力がすごかった。コリンズにしがみついてcontantで生の叫びをあげるエンジェル。あと平間エンジェルは総じて上品でかわいらしいのに対してIVANエンジェルは程よく性のにおいを感じさせる人だったなあ。
そういえばIVANがエンジェルを演じたことについてこうtweetしてたなってのを再掲してみる。
そういえばRENTの感想漁ってたときにIVANエンジェルについて、「(セクシャリティという点において)本物」って言い方をしてる人がいて、んええ・・・・となったのを思い出した
— 黒兎。くろう。@KAAT (@pyon_br96) 2015年9月29日
だってエンジェルはあくまで男の子で、そのうえで男の人がすきで、だからゲイなんだけど、IVANはフィジカルは男の子だけどメンタルは女の子で、そのうえで男の人がすきだから、彼女はストレートじゃん。そこが、なんでわかんないんだろうなあって
— 黒兎。くろう。@KAAT (@pyon_br96) 2015年9月29日
いろんな感想を読んだけど彼女がエンジェルを演じることに対して「(セクシャリティという点において)本物」っていう認識の人がほとんどで、たぶんキャスティングした方もそういう認識だったのかなあって思うんだけど、単純に考えてもエンジェルのセクシャリティとIVANのセクシャリティは全然別物だって、なんでみんなわかんないのかなあと思ってしまった。雑誌のインタビューでそーちゃんはエンジェルの"女の子”の部分を意識していて、IVANは"男の子”の部分を意識しているって話してたのが顕著に表してるなあと思うよ。
*各カップル雑感
それぞれのカップルのメインになる歌が、それぞれの関係性をよく表してるなあと思ったのでした。
・ロジャー×ミミ:平行線をたどる(交わらない)メロディ
堂珍×ジェニファー
ミミが必死に引っ張り上げようとしてそこまでの腕力はなくて、一緒におちそうになるのをベニーが引き止める感じ。ロジャーの弱さがひたすら目立つ。
堂珍×sowelu
ミミが一緒におちようとしてロジャーはこれじゃだめだってわかってるんだけど引っ張り上げる勇気はない感じ。だから突き放してベニーに救ってもらおうとしてる。
ユナク×ジェニファー
体格差が程よくあってジェニファーがちゃんと19歳の小娘っぽく見えたのと、声のキーがぴったりで感動。ロジャーがひたすら優しいからミミの甘える隙を与えてくれそうで、なんだかとてもうまくいきそうな2人だった。だからanother dayの「別の時間、別の場所で」がうまくラストに呼応してたなあ。
・モーリーン×ジョアンヌ:ユニゾンをぶつけ合う
モーリーンWキャストによる違いはキャストの方で語ったのぐらいかな。
たぶん一番幸せで一番よくいるカップル。2人ともが自分で幸せになれるけど一緒にいると倍ハッピーじゃん?なモーリーンと、いやこっちは大変だけどな!って言いながらもまあそういう時もあるしなって思っちゃうジョアンヌ。なんか一番激しいセックスしてそう。
・コリンズ×エンジェル:ストレートなデュエット
TAKE×平間
TAKEさんがイケオジ&そーちゃんがちみっこいせいでどことなく犯罪臭感じてしまう。大人と子供みたいな。
いつかどちらかがどちらかを置いて死ぬことを意識してる2人。だから肝心な時に
エンジェルに触れられないコリンズと、コリンズに手を伸ばせないエンジェル。でも不幸ではない。
どちらかというと"みんなのエンジェル”
加藤×平間
キャピキャピしてる。ゲロ甘。先のことはあんまり考えてない。今目の前にいるあなたが好きで、今この時間が幸せで、みんながいるこの場所がハッピー。死の間際にも
必死で引き止めようとエンジェルの手を握るコリンズとすがるようにコリンズに手を伸ばすエンジェル。この組み合わせの方が悲劇って感じする。不幸ではない。
どちらかというと"コリンズのエンジェル”
加藤×IVAN
生にしがみつくコリンズと自分の手で救えなかったことを嘆くコリンズの、生きることへの熱さのベクトルが同じ方向を向いているカップルだった。だからどちらかが取り残されることなく終われてた気がする。平間相手の甘さはないけど1人の人間として尊重し合って同じ方向を見て進むよいカップルだった気がする。
個人的ベストカップルは
ユナク×ジェニファー、堂珍×sowelu
TAKE×平間、加藤×IVAN かな
ジョアンヌモーリーンはどっちもかわいいからよし
おーーーーーーーわり
最後までがんばって読んでくれた人なかよくして